×

【本:レビュー】イニシエーション・ラブ~ネタばれと答え合わせ:この物語の「仕掛け」を振り返ってみる~

2016年5月21日 雑記

「必ず2度読みたくなる」と銘打たれ、130万部以上の大ヒットした小説イニシエーション・ラブ

読んだのでレビューです。

イニシエーション・ラブ

このイニシエーション・ラブ。「ミステリー小説」とまで称されるほどの「仕掛け」がある恋愛小説。

その仕掛けには物語最後の最後に気づくことになるのですが、その事実に驚き、読み終わった後に再度「確認」したくなるという意味で「必ず2度読みたくなる」と言われるのです。

今回は、一度読んだ人がその「仕掛け」について確認するための、「答え合わせ(自分にとっても)」のために、ブログ記事にしました。

ネタばれを含むレビューですので、これからこの本を読む予定の人はブラウザを閉じてくださいませ。

おさらい:ストーリー

設定は80年代の静岡と東京。バブル最盛期の時代設定は、バブル期を知らない自分にとっては正直ピンときませんが。携帯もない時代、家に電話をかけて親が出るかもしれないドキドキする体験などはよく聞く話です。

80年代の静岡と東京

side-Aでは恋愛経験の無い大学生・鈴木夕樹が、欠員が出た合コンに代打で参加。歯科衛生士の成岡繭子に出会い、恋に落ちる。夕樹は繭子から「たっくん」と呼ばれ、そこから初々しい恋愛の様子が描かれていく。

side-Bでは、繭子と付き合う「たっくん」が東京本社に派遣され、繭子と遠距離恋愛に。そんな中、東京で出会った才色兼備の石丸美弥子とも関係を持つようになり、最終的に繭子と別れ美弥子を選ぶ。

物語はひとつのストーリーかのように進んでいくけれど、最後の2行でside-Aとside-Bの「たっくん」が別人であることが明示され、繭子が二股をかけていた事実が最後の最後に読者が気づくというのが、この物語の「仕掛け」というわけです。

A-sideとB-sideがリンクする場所(答え合わせ)

確かに物語を読み進める中で「違和感」は、ところどころ感じました。しかしよっぱど勘が良い人でない限り、二股の事実までは見抜けないのではないでしょうか。

その事実に気がついてから、もう一度読み直すイニシエーション・ラブは、全く違う物語でしょう。必ず2度読みたくなる。その触れ込みには納得できます。

ただ2度読むのは正直、

面倒くさい

確かにその仕掛けは緻密に計算されていて構成は見事ですが、内容自体は正直淡白なラブストーリーですし、「2回はいいや」って感じです。

ただ、二股の事実を知った後、色々と確認したいことってたくさんありませんか?全部をもう一度読まないまでも、色々振り返ってスッキリしたい!
なので、他の人のブログやレビューを読み漁って、物語を振り返ることにしました。

イニシエーション・ラブを読んだ人は一緒に再確認してみましょう。

「あ~」「あった!」「なるほど」などと、新しい発見や、感動があるかもしれませんよ?

日焼けと水着

日焼けと水着

辰也とのデートで「日焼け」を指摘される。これが合コンメンバーで海水浴に行ったときのもの。

ストーリーの流れ的に気づきにくいですが、振り返ってみると「あー」と思いますよね。辰也が東京から静岡に通う中、繭子は海で夕樹に近づき電話番号を教える。二股の始まりのタイミング。

便秘で入院

便秘で入院

繭が便秘で入院したと言っていたのは、中絶をしたタイミング。夕樹とのデートで繭子はやつれた表情を見せた時があったが、これは堕胎2日後のタイミングだった。

その後、夕樹と性交渉があったがぎこちない繭子。これも堕胎から間もない時期だったから。コンドームをつけないことに戸惑った様子だったのも、妊娠してしまった事実のあとだったから。

クリスマスのホテル

クリスマスのホテル

A-sideのたっくんは、繭とクリスマスを静岡ターミナルホテルで過ごすことに。直前の予約にも関わらず部屋を抑えることができたのは、時期的にかなり珍しいこと。

それは急にホテルにキャンセルが出たから実現したこと。これはB-sideのたっくんがキャンセルしたもの。後説にもありますが、この時期にそうそう都合よくホテルのキャンセルが出るなんてことはありません。

つけなくなったルビーの指輪

ルビーの指輪

最初のコンパの時につけていたルビーの指輪。それから「無くした」としてつけなくなったのは、辰也に送り返したから。もうその時繭子の手元にその指輪は無い。

あまりにも普通な「たっくん?」

繭子との電話

辰也が別れてから繭子に電話をかけたとき。あまりにも自然な声で繭子は「たっくん?」と電話ごしに答える。そのことにく辰也。まだ別れたことを受け入れられていないのではないかと、繭子に同情をする辰也だったけれど、実際には繭子は辰也のことを見限って、夕樹との恋愛へと進んでいた。夕樹だと思って「たっくん」と答えたのです。

最後に

「最後の2行で衝撃を受ける」「必ず2度読みたくなる」

そんな前評判を聞けば、期待が高まらないわけがありません。どんなラストが用意されているのか、色々と想像したり、ひとつひとつの描写に無駄に穿った詮索?をしてみたりして読み進めたものの、最後には

ゾッとしました。
そして前評判通り2度読み返したいと。

こういった仕掛けのある本も面白い。

イニシエーションとは「通過儀礼」という意味。ひとつの恋が、成長するために必要だった通過点であったことを示していて、辰也にとって繭子との恋愛は通過儀礼だったのだと。そういう話で結末を終えようとしていたのですが。。。結局は繭子にとっても、辰也との恋愛は「通過儀礼」。

イニシエーションラブは、第58回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門候補作となったほか、2005年版の本格ミステリベスト10で第6位にランクイン。単なる恋愛小説ではなく、「ミステリー」だと言われる所以でしょう。

小説を読むことは最近あまりなかったけれど、面白い本に出会うと読書熱が沸いてくる。
さー、次は何を読もうか・・・

関連記事