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紀里谷和明ハリウッド進出作「ラストナイツ」の映像美に酔う

2015年12月13日 雑記

紀里谷和明監督のハリウッド初進出作品「ラストナイツ」を池袋で鑑賞してきました。

その鑑賞したときのことと、簡単に映画の感想について。

池袋の映画館やばかった

映画の内容関係ありませんが、まず鑑賞した映画館が良くなかったという話。

今回映画鑑賞した映画館は、池袋のシネマサンシャイン池袋。新宿で観る予定だったのですが、都合が良い時間の上映が無かったため池袋で観ることにしたのです。

「サンシャイン」と名前がついていますが、場所は随分と駅寄り。サンシャイン通りを入って左手にある建物ですが、ここがかなり年季の入った建物で少しビビりました。

ラストナイツが上映されていたのは6番館。入り口は建物側面の駐車場のような場所で、そこの小さなエレベーターに乗って上がると、そこには狭いロビーと小さな売店だけ。売店にはペットボトルの飲み物とカップに梱包されたポップコーンなどが置かれ、貧相なものです。

1人だけいる従業員の人がチケットの確認と売店のレジを同時に担当しています。

シネマサンシャイン池袋映画館

客席は少なく、スクリーンは小さい。あまりにもレトロな映画館。日本のインディーズ映画でも見るならば、雰囲気が出て良いのでしょうが、ハリウッド映画を観るにはあまりにも貧相でみすぼらしい。。。下調べせずに行った自分が悪いのですが、映画館に入った瞬間がっかりしてしまいました。どこで観ても映画の料金は変わらないことを考えると、もうあの場所では二度と鑑賞したくないですね。

昔から行き慣れた人のノスタルジーを感じるための、怠惰な映画館。

観客はまばらで、ほぼ空席。その中央部分の座席取るために、早くから映画館に行ってチケットを購入した自分も情けなくなりました。

観終わっての感想~映像は美しかった~

そんな小さいスクリーンで観ることが惜しかったのは、やはり映像は美しかったから。大きなスクリーンで堪能したかった。

紀里谷和明が評価されているのは「映像作家」としてです。1作目2作目の映画では、批判する人が非常に多かったですが、彼の映像作家としての実力を否定する人はいませんでした。今回も手法が違うとはいえ、美しい映像美を作りだしています。

紀里谷和明の映像美

紀里谷和明のキャリアの始めは写真家。

15歳で単身アメリカに渡米してからは、アートや建築を学び、26歳から写真の仕事をスタート。その後日本でミュージックビデオの監督などを経て、2004年映画「キャシャーン」で映画監督デビューします。

今作が映画監督3作目ですが、今まではCGを駆使しているのが特徴でした。2作目とかロケ無しのオールCGだったそうですよ。

しかし今回のラストナイツは、ほぼCGでの表現が見られませんでした。紀里谷監督曰く、「役者が良かったから、必要なかった」とのこと。モーガン・フリーマンなど、ハリウッドのトップ俳優たちが参加していますので、その決断ができたのでしょう。

ひとつひとつのシーンの美しさはCGがなくとも、素敵です。とくに光の使い方が上手いと言われている点は、今回も健在でした。

紀里谷監督のプロモーション活動すごかった

今作「ラストナイツ」にかける思い入れは強かったようです。特に積極的なプロモーション活動は、前例を見ない活動量でした。

世界30か国で公開された今作「ラスト・ナイツ」。意外にも日本公開は最後でした。日本でだけは配給会社が決まらず、自らがプロモーション活動を引き受けてやっと日本での公開にこぎつけたのです。

そのプロモーションの内容が、「監督自らここまでやるの??」という驚くものばかり。

映画宣伝用の名刺を全国を回って自らの手で配った、その数なんと4万枚。メディアへの露出も相当な数で、取材を受けた媒体数は339件にも及んだそうです。

なぜそこまでプロモーションを必死におこなったのか。

ここまでやる理由について本人は、「作品は自分にとって子供のようなもの。子供のために必死になるのは当たり前」と述べており、作品への情熱を感じます。その一方で、日本映画界で常に嫌われ者だった彼が、なんとかして日本でも興行的に成功するように努力したという見方もできるかもしれません。

バラエティー番組「しくじり先生」に出演したときにこの話をしたことで話題になったりしましたが、紀里谷監督は日本映画界について歯に衣着せぬコメントを繰り返してきたことから、多くの人に嫌われる人物であったことは有名です。

アメリカを中心に活動をしていた紀里谷監督は、日本映画界の合理的ではない部分に対して批判的な態度を取ってきました。

監督デビュー作の「CASSHERN」では、助監督と衝突してはクビにするということを繰り返し、全部で7人の助監督をクビにします。その他にも、「日本の映画監督で成功しているのは異業種の人ばかり」と挑発的な発言をしたり、キャリアを重んじる制作の現場に、PV撮影をおこなっていたときのスタッフを全員連れていったりと、慣習やしきたりを無視する言動を繰り返すわけです。

結果、映画は興行的に成功を収めたものの、映画評論家からは酷評の嵐。映画界の人間からは、酷く嫌われる存在となったのです。

そういった背景からも、日本の映画関係者に頼ることなく、自らの力で日本公開での成功を実現するしかなかったのではないでしょうか。

その他

翻訳は戸田奈津子。洋画をほとんど観ない僕が、何か最近観た名前だなと思ったら、ジュラシックワールドの翻訳も務めていたから。

戸田奈津子

戸田奈津子といえば、「日本語訳の女王」とも「誤訳の女王」とも呼ばれる人物で、良くも悪くも有名らしい。そのジュラシックパークでも、「we need more teeth(歯が立たない)」というセリフを「歯が足りない」と訳したことで、ネットを中心に大きな非難を浴びていた。

それでも毎年話題作の日本語訳の依頼が絶えないということは、ネット上のバッシングとは裏腹に評価する人も多いのだろうと予想しています。

今回ラストナイツの日本語訳では、紀里谷和明が一語一句、戸田さんと話し合いながら進めて完成させたとのこと。これについて戸田奈津子は、「監督の思い入れ、情熱がじかに伝わってきた。字幕づくりの理想かもしれない」とコメント。

一緒にやったのなら誤訳もなにも、監督が伝えたい「言葉」だから間違いようがありませんよね。紀里谷さんが誤訳を怖れたから作業にべったりだった…なんて邪推をする人もいるようですが・・・それは無いでしょう笑

大きなスクリーンでもう一度見たい

この映画の美しい映像を、もう一度大きなスクリーンで観たいです。特にクライマックスの討ち入りのシーン。「印象派の絵画のように陰影深く、美しい。」と言われる、素晴らしいシーンです。その絵を見たい。

ただ、もう東京で上映している映画館が八王子だけなんですよね。八王子まで、少し遠いですが、スケジュールが空けば、行こうと思っています。

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